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Vol.11

日本薬剤師学術大会2013にて ゆう薬局より4名が 口頭発表・ポスター発表を行いました

[ 更新 ]
2013.11.12

北村誠爾(きたむらせいじ)たなべゆう薬局 管理薬剤師 平成21年4月入社

第一薬科大学 薬学部出身
社内では頼りになるベテラン薬剤師。
プライベートでは1児のパパの面を持つ。
釣り、ダイビング、お菓子づくりなど多趣味。

平成25年9月22日・23日に開催された「第46回 日本薬剤師会学術大会 in OSAKA」にて、ゆう薬局からは4名の社員が口頭発表・ポスター発表を行いました。私たちの取り組みの成果を発表できる大きな舞台であるとともに、日本全国の薬剤師が取り組んでおられる新しい試みを知る貴重な機会となりました。

ポスター発表『点鼻薬(液体製剤・粉末製剤)の使用実態調査』
(北村)

今回、私はステロイド点鼻薬の粉末タイプと液体タイプの使用感の比較と効果実感についてポスター発表を行いました。もともと調査を始めたきっかけは、粉末タイプの点鼻薬が発売された時、メーカーさんから「液体タイプは使用感が悪いけれど、粉末タイプは使用感が良いです」というお話を聞き、「ホンマかいな?」と疑問を持ったことです。また、点鼻薬を使用してどれくらいで効果を感じる人が多いのか?など、ステロイド外用薬の効果も確かめたいと思い、店舗でアンケートを取ることにしました。

アンケート内容については、患者さんの負担をできるだけ少なくし、かつ知りたい情報を得るための項目選びに苦労しました。また1日に100人くらいの患者さんが来られるなかでスタッフの数を増やすことなくアンケートを実施すること、集められた情報からどんな結果を導くのかという検証も難しかったですね。私一人では行き詰まっていたと思いますが、たなべゆう薬局や原谷ゆう薬局の仲間たち、メーカーさんの協力をいただくことで何とかまとめることができました。

最終的にアンケート結果として、「使用感は粉末タイプのほうが良い」「点鼻薬を1日使用しただけでは効果の有無を判断できない」という結論が出ました。私たち薬剤師にとっては患者さんにご説明する際、粉末タイプは使用法をしっかりと指導すること、液体タイプは鼻がつまった状態での使用を避ける指導がポイントとなることがわかりました。この結果は全店で情報共有し、点鼻薬の使用感・効果実感について患者さんにより適切なアドバイスができるようになったと感じています。

学会で発表した際は、ポスターを丹念に見てくださる方や熱心に話を聞いてくださる方もおられ、今までの苦労が報われたような嬉しい気持ちになりました。学会発表をするとなると準備も大変ですし気が重くなりがちですが、普段、薬剤師として感じる疑問を数字にして表すことは非常に意義があることだと改めて思いました。私は今後も仕事を通じて「ん?」と疑問が浮かんだこと・・・例えば、外用薬(NSAIDS)の適正使用と効果実感について、睡眠薬の適正服用はどこまで守られているのか、精神科患者さんへの薬剤師の在宅関与と貢献度についてなど・・・を調べていきたいと考えています。そして学会で発表することにより、社内の薬剤師はもちろん、全国の薬剤師にも患者さんの役に立つ情報を発信していきたいですね。

その他3名の発表者

(左から)
海野憲郎 みずほゆう薬局 管理薬剤師
 ◎口頭発表:『薬剤師業務情報共有機能を付加した「電子連絡ノート」を用いた在宅医療介護情報共有システムの構築』
堀川利治 丹後大宮ゆう薬局 管理薬剤師
 ◎ポスター発表:『京丹後市における在宅業務と、患者アセスメントに基づいた介入・連携事例』
樋口敬史 原谷ゆう薬局 管理薬剤師
 ◎ポスター発表:『薬学生実務実習におけるゆう薬局グループの取り組み』

伊藤紀行(いとうのりゆき)嵯峨野ゆう薬局 薬剤師 平成25年4月入社

摂南大学 薬学部出身
今年ゆう薬局に入社したばかりの新入社員。
調剤業務を中心に薬剤師業務に携わるとともに
勉強会や研修会にも積極的に参加している。

日本薬剤師学術大会に参加して(伊藤)

私はゆう薬局に入社して半年が経ち、いろいろな経験を積み重ねている最中です。これからの時代、薬剤師が積極的に取り組んでいくべきことは何なのか? 全国の薬剤師の取り組みを聞き、感じることで薬剤師の新しい可能性を発見できると思い、学会に参加しました。第46回 日本薬剤師学術大会のテーマは「薬剤師の新たな使命〜120年の歴史を踏まえて」というもので、まさに未来の薬剤師のヒントを得られるのではないかと思いました。

まず北村さんのポスター発表については、点鼻薬の粉末タイプと液体タイプの使用感やコンプライアンスについてわかりやすく比較されていると感じました。液体タイプの点鼻薬が使用しにくいと感じてらっしゃる患者さんには朗報ですし、店舗で実際にアドバイスする時の良い材料にもなると思います。私がいる店舗でも患者さんが粉末タイプの点鼻薬の使用を開始される場合は、サンプルを用いて使用方法の確認をするとともに、アンケート結果にあった「粉末タイプは刺激感がほとんどない」ことをお伝えしています。また今回の調査をドクターにも見ていただくことで、より患者さんに適した処方を検討していただくことができるかもしれません。

また分科会で行われていたジェネリック医薬品についての基調講演やシンポジウムも興味深かったです。実は私は店舗でジェネリック医薬品を推進するなかで、患者さんから価格・効能効果・副作用などのお問い合わせがあり、説明が不十分だったためにジェネリック医薬品のイメージを損ねてしまったことがあります。そこで患者さんにどうしたら「安心・安全」だと思っていただけるだろうか、他の薬局ではどうしているのだろうかと考えていました。基調講演では「ジェネリック医薬品の使用促進のための取り組みについて」、シンポジウムでは「ジェネリック医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップを正しく理解するために」「保険薬局におけるジェネリック医薬品使用の現状と課題」などのテーマが取り上げられており、今後の参考となるお話を聞くことができて有意義でした。

ゆう薬局はこのように新人にも学会に参加できる機会を与えてもらえるので、非常に恵まれた環境だと思います。また一方で北村さんをはじめとする先輩たちのように、私たちが日々取り組んでいることを情報発信できる機会もあるため、薬剤師として積極的に「患者さんのためにできること」を社会に示していくことも大事だと感じています。私もこれから地域医療に貢献できるように努力しながら、「薬剤師はここまでできるんだ!」と自信を持って言えるような研究テーマを見出していきたいです。

第46回日本薬剤師会学術大会

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