お知らせ

2011.07.23

平成23年度 第2回 薬剤師研修

ARB製剤と腎疾患に対する薬剤選択について

18:15~20:40

メルパルク京都

 

《内容》
☆ARB製剤の作用機序・ガイドラインについて
☆ARB製剤メーカー各社における製品説明
 ニューロタン(MSD)、オルメテック(第一三共)、ミカルディス(アステラス)、
 ブロプレス(武田)、ディオバン(ノバルティス)、イルベタン(塩野義)
☆『日本人と塩〜ARBの使い方〜』
 京都大学医学部付属病院 内分泌・代謝内科 笠原 正登氏

《目的》
1.ARB製剤のそれぞれの特徴を知る
2.腎疾患に対するARB製剤の有用性と患者指導時のポイントについて理解する

 高血圧治療薬の1つとして幅広く使用されるARBは、現在6種類の成分をもとに製剤化されています。主要メーカー6社より、それぞれの商品の特徴について解説していただきました。
例えば、PPARγ活性化作用により抗糖尿病作用や抗動脈硬化作用が個人差はあるが期待できるもの、血中尿酸値低下作用のあるもの、食事の影響を受けやすいものなど様々です。ARB製剤の個々の特徴を再確認する機会となりました。

 腎疾患患者における降圧薬の選択について、笠原正登氏より講演がありました。
 「塩分をとり過ぎると血圧が高くなる」とよく言いますが、塩分が体に貯まるから血圧が上がるというよりも腎臓からの塩分の排泄に対して余分な圧がかかることが原因となっているそうです。

高血圧だからといってとりあえずカルシウム拮抗剤を選択すればよいというものではありません。腎臓の状態に合わせた、降圧薬の選択が必須となってきます。
腎臓へ繋がる血管が固くなっている場合は腎血流量が低下しているためカルシウム拮抗剤の処方を、腎臓でのろ過量低下もしくは再吸収量が増加している場合は利尿薬を選択するといったものです。症状により、それぞれ特徴を持つARBが選択されることもあります。

一方で、肥満により腎臓からのNa再吸収量があがってしまい、腎臓への負担は大きくなるということも言われています。薬剤による降圧作用も大きく期待できますが、服用される患者さん自身が「できることから改善しよう」という意志を持つことも大切です。
なぜこの薬剤が選択されているのか、患者さん自身にも理解していただき、加えて生活面で改善できることを患者さんと一緒に考える、そのことを再認識させられる研修でした。

 

原稿:池上摩弥(一乗寺ゆう薬局)
撮影:中川景行(紫野ゆう薬局)