ゆう薬局通信1年を通して、さまざまな取り組みを行っているゆう薬局。各店舗からのニュースを、スタッフ自身が紹介します。

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Vol.15

遠くに離れていても 心をつなぐ「在宅医療・介護情報共有システム」へのゆう薬局の貢献

[ 更新 ]
2015.05.01
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    野本愼一(のもとしんいち)
    京都大学名誉教授 京都工芸繊維大学特任教授
    滋賀県立リハビリテーションセンター 所長
    一般社団法人電子連絡ノート協会理事長

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近年ますます重要性が大きくなっている在宅医療・介護サービスへの取り組みの一環として、ゆう薬局は2012年より「電子連絡ノート(※)研究会」に参加し、研究開発と社会実証実験に携わってきました。この研究会は、前京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授の野本愼一氏(京都大学名誉教授、滋賀県立リハビリテーションセンター所長、一般社団法人電子連絡ノート協会理事長)が中心となり、医師、薬剤師、看護師、ケアマネージャー、企業、研究者などが参画しているものです。さらに2014年度からは独立行政法人科学技術振興機構のCOI事業の支援も受け、活動の拡充を図っています。

※「電子連絡ノート」とは…療養者さんが中心となって情報発信し、医療者がいつでもどこでも情報共有できるiPad用アプリケーション。これが実現すれば、療養者さんとその家族はいつも医療者と連携がとれて、“心がつながる”在宅医療を受けることができます。

COI事業とは

COI(革新的イノベーション創出プログラム)とは、日本が革新的なイノベーションを連続的に生み出していくことを目的に独立行政法人科学技術振興機構が行っている支援事業のこと。「今の夢、10年後の常識、新しい未来を作りたい」というコンセプトのもと、産官学が協力して研究開発、社会実装に取り組んでいます。ゆう薬局は、このなかの“安心生活・センサーネットワーク”領域で、京都大学および京都工芸繊維大学と連携しながら、「電子連絡ノート」と「服薬ロボット」の研究開発・社会実装に関わっています。そして2015年度からは「電子連絡ノート」と「服薬ロボット」を連携させ、地域医療を支える多職種スタッフと地域住民の双方にとってより良い在宅医療を提供したいと考えています。“顔が見え、こころが繋がる連携システムの開発と社会実装構築、これらの活動を支える人材育成”を目標に活動していきます。

「電子連絡ノート」と薬局に寄せる期待の声

研究会メンバー 京都工芸繊維大学北里特任教授にインタビュー!

Q:この活動の目的は何ですか?
A:療養者さんの“生活の質”を高めることが一番の目的です。携帯電話やパソコンなどの普及に伴ってどうしても機械的になってしまう人と人とのつながりを、顔が見える、心もつながるものにしたいと思っています。「電子連絡ノート」を用いれば、遠くにいても顔が見られ、リアルタイムな情報を得ることができるようになります。

Q:なぜ、今回の活動にゆう薬局が参加することになったのですか?
A:京都に根ざして成長し、在宅医療サービスを進めてこられたゆう薬局だからこそ選ばれたのだと思います。私はゆう薬局から在宅チーム医療サービス(※)のお話を聞いたとき、訪問薬剤師という言葉を初めて知りました。医師や看護師だけでなく、薬剤師も療養者さん宅へ訪問するのかと驚いたのです。医師や看護師、ヘルパーだけではできない在宅医療サービスを薬剤師が担う。その役割はとても大きいと思っています。

Q:グループ内でのそれぞれの役割はどうなっていますか?
A:京都大学は「電子連絡ノート」や「服薬ロボット」の社会実装構築と医学的検証を進めておられます。また、京都工芸繊維大学はデザイン工学の分野から、人間工学にもとづいたユニバーサルデザインを機器の設計に活かし、今あるものをブラッシュアップできるよう支援していきたいと思っています。

Q:ゆう薬局に求められていることは?
A:すでに実証実験を行っている「電子連絡ノート」の有用性を、ゆう薬局から地域の療養者さん、医師はじめ薬剤師、看護師、ケアマネージャーなどへ広く発信してもらいたいと願っています。「電子連絡ノート」は場所や時間を問わず情報を発信・収集することができ、双方向のコミュニケーションをとれることがメリット。これからの在宅医療サービスには「電子連絡ノート」が欠かせないものになるよう、その利便性を伝えていただきたいですね。ゆう薬局の店舗や医薬品卸を利用して、療養者さんやご家族、介護施設、行政へ「電子連絡ノート」がより広く認知されるようになれば大変社会的意義のあることではないでしょうか。

※在宅チーム医療サービスとは…療養者さんがご自宅で安心して医療を受けられるよう、医師、薬剤師、看護師、ケアマネージャーなどの医療者がひとつのチームとなって支えること。そのなかで薬剤師は療養者さんのご自宅や介護施設に伺い、お薬の説明や飲み方といった療養のお手伝いを行っています。

編集部より

「電子連絡ノート」は、在宅チーム間での情報共有をスムーズにし、孤立しがちな療養者さんへ温かいサービスを提供することができます。また「服薬ロボット」と連動することによって、より安全・安心な薬物療養に貢献でき、医療費の削減にもつながると期待されています。さらにこの活動を進めていくことで、「電子連絡ノート」や「服薬ロボット」と同様のシステムを用いた様々な機器を開発することも可能でしょう。ゆう薬局では10年後の常識・新しい未来を作るために、現状のシステムの問題点や療養者さんからの聞き取りによるリアルな現場の声を開発部門へフィードバックし、より良い「電子連絡ノート」と「服薬ロボット」の開発に寄与していきたいと思っています。

一般社団法人 電子連絡ノート協会
http://www.e-renraku.info/

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