お知らせ

2011.05.28

平成23年度 第1回薬剤師研修

癌の疼痛コントロールにおける麻薬処方の解析

18:00〜20:00

メルパルク京都

 

《内容》
☆麻薬処方患者に対する服薬指導・患者対応の検討
☆講演「がん患者における痛み治療の実際」
 講師:塩野義製薬 癌疼痛克服推進部 赤松 利一氏

《目的》
1.レスキュードーズの適切な用量判断
2.オピオイドの副作用とその対処法を説明できる
3.オピオイド鎮痛剤増量時の使い方がわかる

 がんからくる痛みに対しては、医療用麻薬(以下オピオイド)による鎮痛が行われます。オピ オイドは毎日定時に飲む事で鎮痛効果を発揮していますが、突然の突出痛には対応できないこともあります。その場合はオピオイドのレスキュードー ズによる鎮痛を行うことが一般的です。

 グループディスカッションでは、定時服用のオピオイド一日量からレスキュードーズに適するオピオイドの選択と用量判断を行いました。

 医療用とは言うものの「麻薬」という先入観から、レスキューでオピオイドを多用することに抵抗感を持つ患者様もいらっしゃいます。レスキュードーズに回数制限はありません。痛みを感じたら我慢せずに服用することを患者様に納得していただくことが重要となります。

 オピオイド服用初期に起こる副作用で、服用に対して患者様が抵抗感を持つことは避けなくては なりません。どういった副作用がでるのか、副作用(主に便秘、吐き気など)の対処法はどういうものなのか、また反復的に起こる副作用なのかそうではないの かを再確認し、患者様にお伝えできる体制を整えました。管理においてもオピオイドは他の医薬品より縛りがあります。他の人に譲渡さないことはもちろん のこと、使用しなかった分は返却していただくことを指導する必要があります。

 「がん患者における痛み治療の実際」について、塩野義製薬の赤松氏により講演がありました。

 WHOが推奨している、鎮痛薬使用の基本原則というものがあります。
1.経口的に
2.時刻を決めて規則正しく
3.除痛ラダーにそって効力の順に
4.患者ごとの個別な量で
5.そのうえで細かい配慮を
こ の5大原則に沿って痛み治療が行われることで、90%以上の有効性が各国で報告されているそうです。ですが単に「痛みをとる」というだけの説明では、不安 を抱いている患者様の服薬への姿勢には限界があります。そこで医療機関において具体的な目標、例えば痛みに妨げられない睡眠時間の確保などを挙げ、患者様 の服薬への姿勢を整えることが重要となっています。
 
 院外処方箋でオピオイドが処方された場合、その処方の意図を理解し、その患者様に対して調剤薬局の薬剤師になにができるのか、お声かけ時に気をつけなくてはならないことを再認識した研修でした。

写真:武田 紗代子(吉川ゆう薬局)
原稿:池上 摩弥(らくほくゆう薬局)